30代リンパ腫患者のブログ

首都圏在住の30代男性による、悪性リンパ腫の闘病の様子をお伝えするブログです。

治療開始

 昨年末に入院して抗がん剤治療を開始しました。

 

 初日は検査。骨髄にがんが転移していないかを見るために、骨髄に針を刺して細胞を取る検査をやりました。これ、めっちゃ痛いです。腰にぶっとい注射をするのですが、痛くて息が止まります。一瞬なので気合入れて耐えるしかありません。

 

 2日目にいよいよ抗がん剤を入れ始めます。点滴でアドセトリスはじめ諸々の薬剤が順番に入っていきます。

 人によってはアレルギー反応で吐き気が出たりするようですが、私の場合は特に体調は変わりなしでした。

 

 ただ、途中で「ダカルバジン 」という薬を入れ始めると、血管に激痛が走りました。血管に沿ってビリビリと痛い、これはちょっと耐えらんない。ナースコールして一旦止めてもらいました。人によっては血管痛が出るらしく、投与スピードをゆっくりにしてもらい、腕を温めて血管を拡張させて、ギリ耐えられるぐらいの痛みで投与を続けました。これが1時間。なかなかしんどかったです。

 ちなみに2回目の治療からは、血管痛対策としてブドウ糖を同時に入れて薬剤を薄めてくれました。これが結構効果てきめんで、痛みゼロとは言わないまでも、うたた寝できるぐらいまで痛みが減りました。

 

 初回は血管が痛くなる以外は大きなトラブルなく、4時間くらいで投与が終わりました。その日は特に体調の変化もなく就寝。

 一つ気づいたことは、尿がやたら赤くなることです。薬剤の一つが真っ赤なので、まぁその影響なんでしょう。

 

 入院3日目。朝起きると少し胸がムカムカするような気がするものの、食事は問題なく完食。ただ、前日まで毎日飲んでいたコーヒーが、どうにも飲む気が起きない。お茶生活に切り替えました。副作用による味覚の変化でしょうか。

 午後になるとやたら眠い。これも薬の影響のようです。

 

 入院4日目も同じような感じ。

 

 5日目になって、主治医から「今のところ副作用もきつくなさそうだし、食事がしっかり取れているなら明日にでも退院できる」と言われ、退院決定。え、最初は1、2週間って言われてたけど、こんなに早く退院しちゃっていいの?でも病院生活は退屈すぎて5日目ですでに辟易していたので、結果的にはよかったです。

 

 正直、胸がムカムカする(&眠気)以外はそれほど普段と変わりなく、自分は副作用はかなり軽い方なのかもしれないと、このときは思っていました。副作用で髪が抜けるかもしれないと思って、病院にニット帽も持っていきましたが、退院するときはまだ脱毛も全く始まっていませんでした。

 

 ただ、医師からは治療を重ねるとだんだん副作用が重くなるとも言われていて、実際そのとおりになりました。

 副作用については後日アップします。

ホジキンリンパ腫と治療法

 今回は、ホジキンリンパ腫がどういう病気で、どういう治療法があるのか、私が治療前や治療中に集めた情報を簡単にまとめてみたいと思います。

 

 主な情報源は、私の主治医からの情報と、国立がん研究センターの伊豆津先生が講演されている以下の動画、がんセンターのウェブサイトなどです。詳しく知りたい方は元ネタ(以下リンク)をご覧ください。

【第25回 希少がん Meet the Expert:ホジキンリンパ腫】動画公開 | がん情報サイト「オンコロ」

悪性リンパ腫 基礎知識:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

 

<ホジキンリンパ腫について>

 血液のがんは、白血病悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などに分かれるようです。悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球ががん化した病気です。年間3万人の日本人がかかるようです。原因はよくわかっていないようです。

 元フジテレビの笠井アナもこの病気ですね。私と同時期に治療を開始されているので、ブログを拝見しつつ勝手に応援しています。

 

 リンパ腫の症状としては、首やわきの下などリンパ節の多いところに痛みのないしこりが現れることが多いようです。病気が進むと「発熱」「体重の減少」「大量の寝汗」の症状(「B症状」というらしいです)が現れます。

 私の場合は見えるところにしこりはできず、肺に腫瘤ができたようです。また、入院初期に発熱や寝汗を経験したので、今思うとB症状が出始めていたのかもしれません。

 

 リンパ腫と一口にいっても、週単位で進む悪性度が高いものから、年単位でゆっくり進むものまで数十種類に分かれるようです。

 ざっくり分けると、約1割の人が「ホジキンリンパ腫」、約9割の人が「非ホジキンリンパ腫」です。ホジキンリンパ腫を発症する日本人は年間で約1800人と推計されているようです。10万人に1.4人とかなり稀な病気です。

 原因不明で10万人に1.4人が発症ということなので、私はこの宝くじ的な確率の病気にたまたま当たってしまったということのようです。とはいえ全国で1800人も同じ境遇の方がいるんですね。

 

 さらにホジキンリンパ腫にもいろいろ種類があるらしく、一番多いのは「結節硬化型」で20-30代が発症ピークらしいです。若くてもかかる病気なんですね。次に多いのは「混合細胞型」で、こちらは60-70代がピークらしいです。

 

 リンパ腫の病期(ステージ)は、腫瘍の拡がりなどによって、限局期(ステージ1と2)、進行期(ステージ3と4)に分かれます。

 ホジキンリンパ腫の場合、再発せずに生存する割合(無憎悪生存率というらしいです)は、限局期で8割強、進行期で6割強らしいです。ただし再発してもすぐに死に至るということではなく、再発しようがしまいが、8割強は10年後も生存というデータがあるらしいです。

 

 ざっくり言えば、ホジキンリンパ腫は多くの場合は治る病気で、仮に再発しても治療すればすぐに死に至るわけではない、という病気のようです。

 

 

<治療法(アドセトリス )>

 次に治療法です。最新の治療法、アドセトリス を中心に説明します。

 

 がんには、「手術」「化学療法」「放射線療法」という3大治療法がありますが、ホジキンリンパ腫の治療では主に化学療法が行われます。抗がん剤を点滴で投与します。

 

 ホジキンリンパ腫の治療は、これまで何十年もABVD療法(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジンの4種類)と言われる抗がん剤治療が行われてきたようです。

 2018年9月に、もっと治療成績が良い「アドセトリス 」という抗がん剤が国内で承認されました。普通の抗がん剤はがん細胞だろうが正常細胞だろうが構わず攻撃しますが、アドセトリスはがん細胞だけを狙い撃ちするので効果が高い、ということのようです。今はアドセトリス を組み合わせた「A-AVD療法」という治療法が行われています。

 

 最新のA-AVD療法と、以前のABVD療法を比べると、A-AVDの方が死亡リスクを3割低くできるようです。ただしデメリットもあって、A-AVDの方が副作用として指先のしびれや免疫低下が強いようです(以下リンク)。

 

相臨床試験のECHELON-1およびECHELON-2の追加解析データを2019年ASH年次総会で発表 | Business Wire

武田薬品とシアトル・ジェネティクスが進行期ホジキンリンパ腫のフロントライン治療でアドセトリス(ブレンツキシマブ・ベドチン)を評価する第3相ECHELON-1臨床試験の良好なデータを発表へ | Business Wire

 

 A-AVD療法では、2週間に1度、抗がん剤を点滴で投与します。1回に3時間くらいでしょうか。これを2回やると1コース(4週間)。標準治療ではこれを6〜8コース行う。なので治療期間はトータルで24〜32週です。半年〜8ヶ月ぐらいですね。

 

 限局期でも進行期でも7-8割の人はA-AVD治療で治るけど、これで治らない人や再発した人は、より強い抗がん剤治療や、自家移植や同種移植と呼ばれる治療が必要になるようです。

 

 

 不幸中の幸いというか、病気になって数少ない明るい材料は、2018年に始まったばかりの最新の治療法を受けられることかなと思います。 実際に自分がアドセトリス の治療を受けてみた様子は、後日アップしていきます。

病気判明まで

 病気判明のきっかけは、職場の定期健康診断でした。

 

 胸のレントゲン検査で「肺に影があるため再検査」という結果が来ました。何のことやらと思い、ちらっとネット検索してみると、考えられる病気として肺がんやらなんやら、怖い病名が並んでいます。

 とはいえ、何の症状もなく、前の年までは異常もなかったので、悪い病気だとは全く考えていませんでした。

 

 ところが、職場近くの総合病院の呼吸器内科を受診し、CT検査をしたところ、肺に数センチの腫瘤(こぶ)があるとのこと。医師から「肺がんの可能性があるので早めの検査入院を勧める」と言われ、あれよあれよという間に、2泊3日の検査入院をすることに。

 

 検査入院の初日に、医師から以下を告げられました。

・最も可能性が高いのは肺がん。そうでなければ悪性リンパ腫

・仮に肺がんだとすれば、ステージ3と見られる。ステージ3の5年生存率は2割。

・今回の検査入院で肺がんが確定されたら、抗がん剤治療と放射線治療を始める。

 

 まさかの急展開。何の症状もないのに、可能性のある病気がいずれもガンというのは衝撃。しかもステージ3で、5年後に生きている確率が2割って。5年どころか50年以上生きたいし、やりたいこと山ほどあるのに。

 

 検査入院では、胸に針を刺し、肺の腫瘤からちょくせつ細胞を取る「生検」という検査がメインでした。局部麻酔で痛みは少ししかないものの、絶対に動いてはいけない、咳もしてはいけない、もちろん笑ってはいけないということで、結構な緊張感。意識すると逆に咳が出そうになる。

 なんとか検査を終え、ほかにも脳のMRIやら便やら血液やら色々検査しました。結果は1−2週間で出るとのこと。

 

 退院から結果が出るまでの間、なんともいえない気持ちで日々を過ごしました。

 なんとなく自分はそんなに悪い病気ではないような気がする;でももしかしたら長くは生きられないかもしれない;でも小さな子どもや家族を残して死ねない;どんな手を使っても絶対病気に勝ってやる;それにしても生存率2割は厳しいな;治験とか先進医療とかも考えなきゃな;あっ、保険入ってなかった、等々。

 

 検査の次の週、医師より電話があり、「肺がんではなくリンパ腫だった。血液内科に担当が変わるので、別の医師と治療方針を相談してもらいたい。」とのことでした。ネット情報によると、リンパ腫の生存率は肺がんよりもかなり高そう。少し胸を撫で下ろしました。

 

 そのまた翌週、今度は血液内科を受診し、検査結果と病状を詳しく聞くことに。医師曰く、

・リンパ腫といっても複数の種類があり、今回はホジキンリンパ腫という病気。

・7、8割の人は化学療法(抗がん剤治療)で治る。

・早めに入院して抗がん剤治療をスタートした方が良い。最初だけ1−2週間入院して、副作用が強くなければ自宅から通院治療に切り替えられる。

 

 ということで、仕事の整理や引継ぎを考えて、その2週間後から入院することに決めました。

 こうして私の闘病生活がスタートしました。

リンパ腫の闘病に関するブログをはじめました。

 はじめまして。

 私は、2019年11月に血液のがんの一つ、「悪性リンパ腫」と診断され、現在治療中の者です。30代男性で首都圏に住んでます。

 

 同じ病気と闘う方たちの参考に少しでもなればと思い、こういうブログを始めてみます。きっかけは以下のような感じです。

 

 がんと診断されるまでは、自分がこの年で病気を患うとは1ミリも考えておらず、がんについてほとんど知識がありませんでした。そんな私なので、病気が判明して治療を始める中で、情報収集の大変さを痛感しました。

 

 他の多くのがんも同じだと思いますが、がんと診断された後、数週間という短い間に、病院や治療方針、保険など金銭面の対策、仕事の整理・引継ぎなどを進めなければなりません。

 私のように「そもそもリンパ腫ってなんでしたっけ?」レベルの人間は、大急ぎでキャッチアップしないと、医師が話している内容すら理解できません。

 あわてて国立がんセンターのHPなどから情報をかき集めるわけですが、必要な情報は色々なところに散らばっていて、しかも素人には分かりづらいです。色々つなぎ合わせてようやく「どうやらこういう病気でこういう最新の治療法があるらしい」ということが分かってきます。相当な労力です。

 

 マイナーな病気だと情報収集がさらに難しくなります。

 悪性リンパ腫と一口にいっても数十種類に分かれるらしく、症状や治療法もそれぞれ異なるようです。私の場合は「ホジキンリンパ腫」というマイナーな部類のがんです。

 どのぐらいマイナーかと言うと、1年間にがんに罹患する日本人は約100万人、このうち悪性リンパ腫が約3万人、うちホジキンリンパ腫が約1800人で、がん罹患者全体の約0.2%にすぎません。

 これだけ患者数が少ないと、ホジキンリンパ腫に特化した情報や闘病ブログの類はほとんどなく、これから先の闘病生活はどうなるのか、不安を抱えて治療を始めました。

 

 こういう背景で、このブログでは、不十分ながら私が集めた情報や闘病の様子を、できるだけ具体的につづっていこうと思います。

 ホジキンリンパ腫と闘う方々があちこちネット検索して難解な情報を読み解く手間をできるだけ省き、こんな感じで治療が進むんだなーとイメージしていただけるなら幸いです。

 なお、ホジキンリンパ腫のみならず他のがんを抱える方々にも参考になる情報(例えば、抗がん剤による副作用への対応など)もあると思います。

 

 どうぞよろしくお願いいたします。